Genital removal・Urinary incontinence
性器脱・尿失禁
性器脱(骨盤臓器脱)
骨盤臓器脱とは骨盤の中にある子宮、膀胱、直腸などの臓器が膣の中に垂れ下がり、膣壁と一緒に女性器より出てしまう病気で、子宮脱、性器脱、膣脱、膀胱脱(膀胱瘤)など症状によって細かく称されることもあります。 子宮脱などの骨盤臓器脱(性器脱)の原因として、出産により骨盤が押し広げられ、骨盤底筋群が引き伸ばされ障害を受けるためです。その他に、肥満や喘息、常習便秘など、腹圧が上昇し骨盤底に強い負荷が加わるものは骨盤臓器脱を引き起こしやすくします。脱状態になると排尿障害や歩行障害になることもあります。保存的治療としては、硬質プラスチック製のペッサリーを腟内へ挿入し、子宮を上にあげて固定する方法があります。最近では、やや軟らかい材質のペッサリーも使用されており、腟粘膜への刺激もより少なく、挿入・抜去も容易になっています。症状が重いときには手術となることもあり、適切な医療施設を御紹介いたします。
尿失禁(尿もれ)
尿失禁は高齢者だけのものではありません。尿失禁に悩む女性は20、30代の若年層から中高年にいたるまでかなり多く、40代では3人に1人は経験があるとされます。これは、女性の場合、尿道が男性に比べて短く直線的な形状であること、また膀胱や尿道を支える靭帯や筋肉が、男性に比べて弱いためと言われています。これらの病気は命に係わる病気ではありませんが、QOL(=生活の質)を低下させてしまいますので、お一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
過活動膀胱
過活動膀胱は、急に排尿が我慢できなくなり、排尿の回数が多くなる状態のことで、外出が不安になったり、家事や仕事の妨げになったりとQOLが著しく損なわれます。原因は、加齢や脳や脊髄の障害など神経因性による場合もありますが、原因が不明のものも少なくありません。症状としては、①頻尿-トイレが近い(日中8回以上、夜間1回以上)、②尿意切迫感-突然尿がしたくなり、我慢することが難しい、③切迫性尿失禁-ふいに強い尿意にみまわれ、我慢できずに尿をもらすことがある、などがあります。
治療 ① ▼
抗コリン薬による薬物療法が多く使われます。また、利尿作用のある飲み物を控えるなど生活改善や排尿の間隔を長くする膀胱訓練や膀胱を支えている筋肉を強くするために骨盤底筋体操を行うことも効果的です。
腹圧性尿失禁
咳やくしゃみをした時や重い荷物などを持ち上げた時に腹圧がかかり、尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。出産や加齢により尿道の周りの筋肉が弱くなって尿道の固定が悪くなっているために起こります。特に中高年の女性に多く、8人に1人は悩まされているとされます。
治療 ② ▼
薬物療法より尿道の収縮を強める薬や抗コリン薬を服用します。また、軽い症状の場合は、運動療法で治る場合もあります。骨盤の底部で膀胱や子宮を支えている筋肉である骨盤底筋を鍛える運動です。また、重症の場合は、手術により尿道や膀胱をつりあげたり、尿道の周囲にコラーゲンを注入する方法などがあります。
実際には、過活動膀胱や腹圧性尿失禁などの複数の因子が関与していることが多く、混合性尿失禁と呼ばれています。